エリオット波動の具体的な使い方は?FX初心者にもわかるように解説

2025 5/25
エリオット波動の具体的な使い方は?FX初心者にもわかるように解説

エリオット波動は、多くのトレーダーに利用されているテクニカル分析の一つです。エリオット波動とはローソク足のまとまりを波として捉える考え方であり、相場の値動きを「5つの推進波」と「3つの修正波」というパターンに分けて分析する手法です。

インターネット上にはエリオット波動についてさまざまな記事がありますが、具体的な使い方にまで触れている解説は多くありません。また、教科書的な内容がほとんどで、実際にトレードをしたことがない、経験が少ないであろう人が書いている情報も複数確認できました。

本記事では、エリオット波動について具体的な使い方を解説していきます。エリオット波動の概要は知っているけど「結局どうやって使うの?」「トレードに活かして利益を出すためにはどうしたらいい?」と感じている人は、ぜひ記事を読んでみてください。

目次

エリオット波動とは?概要を説明

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上記がエリオット波動の概念図です。1938年に米株アナリストのラルフ・ネルソン・エリオット氏によって提唱され「上昇5波と下降3波(下降はA〜C波とも呼ばれる)」を基本として一つの周期が成り立つという理論です。この周期が成り立つのは人間の心理が大きく関係しており、FXを始め株式や先物、暗号資産などさまざまなチャートに見られます。

とはいえ、すべての相場に「上昇5波と下降3波」が存在するというわけではありません。

相場は生き物であり、上昇3波で終わることもあれば、下降波が5波以上続くこともあります。したがって「エリオット波動が綺麗に出ているときだけトレードする」という姿勢では、せっかくのチャンスを逃してしまうかもしれません。

では、エリオット波動はどのように使えばよいのでしょうか?

ポイントは、各波の”特徴”を理解し、状況に応じて柔軟に活用することにあります。次からはエリオット波動が成り立つ際の原則と、各波の特徴について詳しく解説していきます。

エリオット波動の基本原則

エリオット波動には3つの原則があります。ここでは、補足を加えながら詳しく解説していきます。

上昇1、3、5波の中で3波がもっとも短くなることはない

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上昇3つの波の中で、3波が一番短くなることはない、という原則です。エリオット波動の中で上昇3波はもっとも伸びやすく利益をあげやすい波として知られています。

しかし、冒頭でも述べたように相場は生き物であり、すべてに「上昇5波と下降3波」が存在するというわけではありません。「上昇3波で終わってしまったらどうなるの?」「1波が長いパターンもあるのでは?」と感じている人もいるでしょう。

個人的に「上昇1、3、5波の中で3波がもっとも短くなることはない」という原則は「上昇3波が一番伸びやすい」と理解でいいかと思います。後に説明しますが、上昇3波はトレーダーの心理的にもっとも伸びやすい波です。

原則の理解に「上昇1、3、5波の中で」という前提を入れて「必ずこうなる」と思い込むと、視野が狭くなったり誤って理解してしまう可能性もあります。したがって、この原則は「上昇3波はもっとも伸びやすい波である」という目安として理解しておくのが良いでしょう。

上昇2波が1波の起点となる安値を下回ることはない

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調整波となる上昇2波の終わりが、第1波が始まる安値を下回ることがない、という原則です。この原則はダウ理論の「明確な転換シグナルが出るまでトレンドは継続する」という6つ目の法則にも関連しています。

ここで考えるべきは「明確な転換シグナルとは何か」という点です。ダウ理論によると、明確な転換シグナルには以下3つの解釈があるとされています。

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  • ①押し安値を割る
  • ②押し安値を割った上で、高値と安値が切り下げる
  • ③高値と安値が切り下がる

上記の中で「①押し安値を割る」に着目してみましょう。1波の起点、つまり押し安値を割ることは下降トレンドの継続を意味します。そのため、上昇1波としては成立しないということになります。

エリオット波動1波の起点と2波の終わりの点は、必ず切り上がっていることが条件です。2波が1波の起点を下回ると、上昇トレンドが成立しないため、エリオット波動としてのカウントができない点を理解しておきましょう。

上昇4波が1波の高値を下回ることはない

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もっとも伸びやすい3波の後の調整波となる4波の終わりが、1波の終わりの高値を下回ることがないという原則です。

エリオット波動の第5波目は、上昇トレンドに乗り遅れた最後の素人買いが入るタイミングです。買いが弱く4波が長くなり1波の高値を割り込んだ場合は、一度上昇トレンドが終焉したと判断して、次の動きを待つといいでしょう。

この原則においても、相場は生き物であり、すべてに「上昇5波と下降3波」が存在するわけではということを忘れないようにしてください。「上昇4波が1波の高値を下回ることはない」とありますが、そうした状況は相場でよく起こりうるものです。

文字通り受け取るのではなく、一度上昇の勢いが収まり、売りと買いが交錯するタイミングになりやすいと理解しておくと、余計なエントリーを減らせるはずです。

エリオット波動の各波について解説

ここでは、エリオット波動の各波の特徴を、トレーダーの心理に基づいて解説していきます。エリオット波動は「上昇5波と下降3波」で構成されますが、このブログでは「下降3波」を無視して「上昇5波」の裏返しが「下落5波」であると捉えて説明します。

つまり、相場が上昇トレンドには5つの波があるように、下降トレンドでも5つの波があるという意味です。下降トレンドの場合は逆にして考えるようにしてください。

上昇1波

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上昇1波はエリオット波動の起点となる波です。この波はエリオット波動の中でもっとも判別が難しい波であり、3波、5波と形成された際に気づくことが多いです。

なぜ気付きづらいか、それは上昇1波と見られる波がただの下落の調整波で終わることも多いためです。

以下のチャートを見ると、エリオット波動1〜5波を形成していることがわかります。

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以下は1波形成後のローソク足を消した画像です。

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この時点では単なる戻しのように見えますし、戻り高値を超えていないので下降トレンド継続中です。

以下のように再び下落を始めて、下降トレンドが継続する可能性もあります。

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上記のケースで戻り高値を超えていたら、ひとまず下降トレンドは終わったと判断しても問題ありません。とはいえ「下降トレンドの終了→上昇トレンドの開始」で買いに優位があると考えるのはまだ早いです。下降トレンド終了からレンジに入り、そこから再び下降トレンドが始まる可能性も十分にあります。

この波では、先んじてトレンド転換を察知した優秀なトレーダーが静かにエントリーを始めます。しかし、完全にはトレンドが転換しておらず、一般的なトレーダーが狙うことは非常に難しいと考えていいでしょう。エリオット波動では、この後に解説する第3波を狙って入るべきといえます。

上昇2波

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上昇2波は、1波終了後に押しをつけるために下落する波で、調整波と呼ばれることもあります。エリオット波動の原則で説明したように「上昇2波が1波の起点となる安値を下回ることはない」という特徴を持ちます。基本的にこの波はエントリーに推奨されておらず、1波と同様に3波、5波と形成された後に気づくことが多いです。

以下は、3波以降を削除したチャートです。

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この時点では戻り高値も超えていないため、下降トレンド継続中です。再び下方向に強く走る可能性が十分にあります。

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また、この時点では安値切り上げポイントが確定していない状態です。安値切り上げポイントが確定するのは、1波でつけた高値を超えて第3波が始まるタイミングになります。

第2波は「まだ下降トレンドと思っている」「短期トレードでの利益確定」して下げようとする勢力と「上昇トレンド転換を狙う」「短期的なトレンド転換で押し目買い」して上げようとする勢力が拮抗する局面です。そのため、売り買いの思惑が交錯しやすく大きな利益は望めないといえるでしょう。

上昇3波

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エリオット波動でもっとも利益の狙いやすい波です。第2波で押しをつけて1波の高値を超えた時点で発生する波であり、上昇トレンドを確信したトレーダー達の買いが入り伸びやすい特徴を持ちます。

以下は4波以降を消したチャートです。

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3波が力強く伸びていて、完全に上昇トレンドへ転換しています。移動平均線も上を向き始めて、買いが強くなってきていることがわかります。

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戻り高値超えと安値が切り上がっており、ダウ理論による転換シグナル「①」「③」を満たしています。

第3波はトレンド転換を確信したトレーダーによる買いが集まりやすいです。2波を超える前のタイミングでエントリーすることができれば大きな利益を狙うことができるでしょう。ただし、冒頭でも述べた通り相場は生き物であり、あくまで「買いが集まりやすい」「伸びやすい」波であるという点には注意しておく必要があります。

上昇4波

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3波が終わり押しをつける波で、2波と同様に調整波とも呼ばれます。この波では法則の見出しでも説明したように「上昇4波が1波の高値を下回ることはない」という特徴を持ち、基本的に2波と同様エントリーには向かない波です。

以下は5波以降を消したチャートです。

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チャートでは、すでに短期のMAも大きく伸びきっている状況です。短期でのトレードには向きませんが、上位時間足の日足や4時間足などでは、ローソク足がMAとの乖離を埋める法則を利用してのエントリーは検討できることもあります。

4波は1波や3波の根っこで十分な含み益を得て利益確定を図る勢力と、上昇トレンド継続と思って押し目買いを入れる勢力とで、それぞれの思惑が交錯しやすい局面です。基本的にエントリーは推奨されていませんが、ローソク足がMAとの乖離を埋める法則を狙ってエントリーする場合は、マルチタイムフレーム分析を行った上で、MA付近や節目のラインなどで早めの利確を心がけることが重要です。

上昇5波

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5波はエリオット波動の最後となる上昇波です。買いの力が弱くなってくるタイミングで、一般的にはあまり伸びづらい波とされています。

以下はエリオット波動の上昇波を表したチャートです。

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5波では上昇幅を減らしてあまり伸びていないことがわかります。これには「MA同士の乖離は必ず埋めてくる」という法則も関係しています。

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MAが伸びきった5波でエントリーするのは、ようやく上昇トレンドに気づいて乗り遅れまいとする初心者トレーダーであり、優秀なトレーダーは常に利益確定の機会を狙っていると理解しなければなりません。ここからのエントリーは、常に高値掴みのリスクがあることを覚えておきましょう。

とはいえ、3波が伸びなかった場合には、5波が長く強く上昇するケースもあります。そのため、5波だからエントリーをやめる、と短絡的に見るのではなく、状況を見極めて判断することが重要です。

エリオット波動に関するよくある質問

ここでは、エリオット波動についてよくある質問と、その回答について述べていきます。

エリオット波動の原則はどう捉えればいいですか?

エリオット波動3つの原則は、状況に合わせて捉えることが重要です。
相場は生き物であり、必ずしも上昇5波・下落3波でトレンドが形成されるわけではありません。そのため、原則通りに捉えてしまうと柔軟な視点を失い、誤ったエントリー判断につながる可能性があります。
エリオット波動はあくまで市場の傾向を読み解く一つの手段として、相場環境や他の指標と併せて活用することが大切です。

エリオット波動だけで利益を出せますか?

エリオット波動は数あるテクニカル分析の中の一つであり、単体で利益を出すことは不可能と言っていいでしょう。相場で勝つためには複数の分析を組み合わせ、総合的な視点で見ていく必要があります。
とはいえ、エリオット波動は古くから多くのトレーダーに使われてきた歴史ある理論であり、市場心理や群集行動を読むうえで重要な手がかりになります。相場の大きな流れを掴むための土台として活用し、他の分析手法と組み合わせて使うことが、利益につながる道といえるでしょう。

下落の局面でエリオット波動は使えますか?

下落の局面でもエリオット波動は使えます。本記事で解説した上昇1波〜5波をそっくり反対にして考えるようにしてください。
エリオット波動を理解する上で、ダウ理論は欠かせません。特にトレンド転換の解釈「①押し安値を割る」「②押し安値を割った上で、高値と安値が切り下げる」「③高値と安値が切り下がる」3つは押さえておきましょう。

まとめ

エリオット波動は、相場のリズムや群集心理を読み解く有効なツールとして、多くのトレーダーに活用されています。各波はトレーダーの思惑によって作り出されるものであり、市場参加者の感情や期待が波の形として視覚化されているとも言えます。ただし、常に教科書通りに波が形成されるわけではないため、原則の柔軟な解釈が求められます。

単体での分析には限界があるため、ダウ理論などの基礎知識を踏まえつつ、他の指標や手法と組み合わせて使うこようにしましょう。相場では複数のテクニカル分析を用いて多角的に捉える視点を持つようにしてください。

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